“エルキュール・ポアロ”シリーズの長編32作目。
1972年11月、Collins社から刊行された。
米国でも同年、Dodd, Mead社から刊行。
日本語初訳は1973年『ミステリマガジン』(2~5月号)に掲載された「象は忘れない」(中村能三訳)。
『五匹の子豚』『マギンティ夫人は死んだ』を先に読んでおくことを推奨します。
早川書房
(日本語版翻訳権独占)1973
象は忘れない
中村能三訳 早川書房 「ミステリマガジン」1973年2月号~5月号1973
好奇心はひとをとんでもない目に合せることがある。 ミステリ作家のミセズ・オリヴァーは、一度も文学仲間のパーティに出席したことがなかった。 見知らぬ読者から歯の浮くような讃辞で攻めたてられると、どうしようもないほどどぎまぎしてしまう。 それが嫌だが、一度のぞいてみたいという好奇心が勝ってしまった。 昼食会は気持よくすすんだ。 最後の料理、大好物のメレンゲの皿を片づけるころは、満足の溜息さえもれるほどだった。 だが、食事が終り、人々が動きはじめたとき、ミセズ・オリヴァーはもっとも会いたくない人間に会いそうな危険を感じた。 そして、大きくて白い強そうな歯をもって、甲高い声で話すミセズ・バートン=コックスが出現した。 オリヴァーが名付け親になったシリヤという女の子が、ミセズ・バートンの息子と結婚することになったが、シリヤの父親が母親を殺したのか、母親が父親を殺したのか、オリヴァーはミステリ作家だからわかるだろうという無理難題を突然いいだ した。 男親のピストルによるシリヤの両親の死亡事件は10数年前の有名な事件だった。 しかし、警察もあきらめたそんな古い事件を、いまさらオリヴァーが名付け親だからといって押しつけてくるなんて理不尽な話だわ、と最初ミセズ・オリヴァーは憤慨していたが、その夜、エルキュール・ポアロのもとを訪れた……。
解説:「クリスティーとクリスマス」
象は忘れない
中村能三訳 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ(1211)好奇心はひとをとんでもない目に合せることがある。 ミステリ作家のミセズ・オリヴァーは、一度も文学仲間のパーティに出席したことがなかった。 見知らぬ読者から歯の浮くような讃辞で攻めたてられると、どうしようもないほどどぎまぎしてしまう。 それが嫌だが、一度のぞいてみたいという好奇心が勝ってしまった。 昼食会は気持よくすすんだ。 最後の料理、大好物のメレンゲの皿を片づけるころは、満足の溜息さえもれるほどだった。 だが、食事が終り、人々が動きはじめたとき、ミセズ・オリヴァーはもっとも会いたくない人間に会いそうな危険を感じた。 そして、大きくて白い強そうな歯をもって、甲高い声で話すミセズ・バートン=コックスが出現した。 オリヴァーが名付け親になったシリヤという女の子が、ミセズ・バートンの息子と結婚することになったが、シリヤの父親が母親を殺したのか、母親が父親を殺したのか、オリヴァーはミステリ作家だからわかるだろうという無理難題を突然いいだ した。 男親のピストルによるシリヤの両親の死亡事件は10数年前の有名な事件だった。 しかし、警察もあきらめたそんな古い事件を、いまさらオリヴァーが名付け親だからといって押しつけてくるなんて理不尽な話だわ、と最初ミセズ・オリヴァーは憤慨していたが、その夜、エルキュール・ポアロのもとを訪れた……。
解説:「クリスティーとクリスマス」
1979
探偵作家のミセズ・オリヴァは、一番会いたくない人物ミセズ・バートンから無理難題を持ちかけられた。オリヴァが名づけ親になったシリヤという娘が今度バートンの息子と結婚することになった。ついては昔起ったシリヤの両親の死亡事件を再調査してくれまいかというのだ。父親が母親を殺したのか、それともその逆だったのか、未解決に終った事件だった。しかし警察も匙を投げた10数年も前の事件を今さら…。困り果てたオリヴァはその夜、友人のポアロのもとを訪れた。得意の「回想の殺人」を描いて、人間の運命を凝視する女史晩年の代表作。
1. 文学者昼食会/ 2. 象に関する最初の言及/ 第一部 象( 3. アリスおばさんの手引き/ 4. シリヤ/ 5. 過去の罪は長い影をひく/ 6. 旧友の回想/ 7. ふたたび子供部屋に/ 8. ミセズ・オリヴァの話/ 9. 象探しの成果/ 10. デズモンド)/ 第二部 長い影( 11. ギャロウェイ警視とポアロ覚え書を検討する/ 12. シリヤ、エルキュール・ポアロに会う/ 13. ミセズ・バートン=コックス/ 14. ウィロビー医師/ 15. ヘア・スタイリスト・ビューティシャン、ユージン・アンド・ローズンテル/ 16. ミスタ・ゴビーの報告/ 17. ポアロ出発を告げる/ 18. 間奏曲/ 19. マディとゼリー/ 20. 審問廷)
解説:「晩年のクリスティーとポアロ」
表紙:真鍋博
象は忘れない
中村能三訳 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫(HM1-44) ISBN:9784150700447探偵作家のミセズ・オリヴァは、一番会いたくない人物ミセズ・バートンから無理難題を持ちかけられた。オリヴァが名づけ親になったシリヤという娘が今度バートンの息子と結婚することになった。ついては昔起ったシリヤの両親の死亡事件を再調査してくれまいかというのだ。父親が母親を殺したのか、それともその逆だったのか、未解決に終った事件だった。しかし警察も匙を投げた10数年も前の事件を今さら…。困り果てたオリヴァはその夜、友人のポアロのもとを訪れた。得意の「回想の殺人」を描いて、人間の運命を凝視する女史晩年の代表作。
1. 文学者昼食会/ 2. 象に関する最初の言及/ 第一部 象( 3. アリスおばさんの手引き/ 4. シリヤ/ 5. 過去の罪は長い影をひく/ 6. 旧友の回想/ 7. ふたたび子供部屋に/ 8. ミセズ・オリヴァの話/ 9. 象探しの成果/ 10. デズモンド)/ 第二部 長い影( 11. ギャロウェイ警視とポアロ覚え書を検討する/ 12. シリヤ、エルキュール・ポアロに会う/ 13. ミセズ・バートン=コックス/ 14. ウィロビー医師/ 15. ヘア・スタイリスト・ビューティシャン、ユージン・アンド・ローズンテル/ 16. ミスタ・ゴビーの報告/ 17. ポアロ出発を告げる/ 18. 間奏曲/ 19. マディとゼリー/ 20. 審問廷)
解説:「晩年のクリスティーとポアロ」
表紙:真鍋博
登場人物
アリアドニ・オリヴァ | 探偵作家 |
ミス・リヴィングストン | オリヴァの秘書 |
ミセズ・バートン=コックス | 未亡人 |
デズモンド | バートンの養子 |
シリヤ・レイヴンズクロフト | オリヴァの名付け子 |
サー・アリステア・レイヴンズクロフト | 将軍。シリヤの父 |
マーガレット・レイヴンズクロフト | シリヤの母 |
ドロシア・ジャロー | シリヤの伯母 |
マディ・ルーセル | シリヤの家庭教師 |
ゼリー・モーウラ | 同上 |
ジュリア・カーステアズ | オリヴァの友人 |
ミセズ・マッチャム | 同上。 |
ミセズ・マーリーン | 同上。 |
ウィロビー | 医師 |
ミセズ・ローズンテル | 美容院経営者 |
ミスタ・ゴビー | 情報屋 |
ギャロウェイ | 元警視 |
バート・スペンス | 同上 |
ジョージ | ポアロの従僕 |
エルキュール・ポアロ | 私立探偵 |
2003
推理作家ミセス・オリヴァが名づけ親になったシリヤの結婚のことで、彼女は先方の母親から奇妙な謎を押しつけられた。十数年前のシリヤの両親の心中事件では、男が先に女を撃ったのか、あるいはその逆だったのか?オリヴァから相談を受けたポアロは、“象のように”記憶力のよい人々を訪れて、過去の真相を探る。
解説:芦辺拓「アガサを忘れない─クリスティーとポアロの到達点」
象は忘れない
中村能三訳 早川書房 クリスティー文庫(32) ISBN:9784151300325推理作家ミセス・オリヴァが名づけ親になったシリヤの結婚のことで、彼女は先方の母親から奇妙な謎を押しつけられた。十数年前のシリヤの両親の心中事件では、男が先に女を撃ったのか、あるいはその逆だったのか?オリヴァから相談を受けたポアロは、“象のように”記憶力のよい人々を訪れて、過去の真相を探る。
解説:芦辺拓「アガサを忘れない─クリスティーとポアロの到達点」
映像化
テレビドラマ
監督:ジョン・ストリックランド 脚本:ニック・ディア
出演:
デビッド・スーシェ(エルキュール・ポワロ)、
エイドリアン・ルーキス(レーブンズクロフト将軍)、
アナベル・モリオン(マーガレット・レイヴンズクロフト)、
ゾーイ・ワナメイカー(アリアドニ・オリヴァ)、
グレタ・スカッキ(バートンコックス夫人)、
イアン・グレン(ウィロビー博士)、
ヴィンセント・リーガン(ビール警部)、
アレキサンドラ・ダウリング(マリー・マクダーモット)、
ヴァネッサ・カービー(シリア・レーブンズクロフト)、
キャロライン・ブラキストン(ジュリア・カーステアズ)、
Elsa Mollien(ゼリー)、
マキシン・エバンス、
ヘイゼル・ダグラス(ミセズ・マッチャム)、
ジョー・アン・ストッカム(ウィロビー)、
フェルディナンド・キングズリー(デズモンド)、
ダニー・ウェブ(ギャロウェイ警視)、
クレア・コックス(ドロシア・ジャロー)、
ルース・シーン(マダム・ローズンテル)
象は忘れない Elephants Can Remember
2013年 英ITV 「名探偵ポワロ」Agatha Christie's POIROT XIII |監督:ジョン・ストリックランド 脚本:ニック・ディア