フランクフルトへの乗客
Passenger to Frankfurt

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ノンシリーズものの長編17作目(メアリ・ウェストマコット名義の作品を除く)。
1970年9月、Collins社から刊行された。 米国版も同年、Dodd, Mead社から刊行。
日本語初訳は1972年の『世界ミステリ全集1』(早川書房)に掲載された「フランクフルトへの乗客」(永井淳訳)。

早川書房

(日本語版翻訳権独占)
1972
フランクフルトへの乗客
永井淳訳 早川書房 世界ミステリ全集(1)
「そして誰もいなくなった」「愛国殺人」「フランクフルトへの乗客」を収録。
1975
フランクフルトへの乗客
永井淳訳 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ(1237)
その日、サー・スタフォード・ナイをフランクフルト空港の通過客待合室へ追いやったのは、ジュネーヴ上空を覆う濃霧だった。 マラヤでの調査任務を終え、ロンドンのわが家へ急ぐ足を止められた、この中年の外交官はいささかうんざりしていた。 いつもこうだ。 魅力のない仕事を終えたばかりなのにいまいるのは騒々しい待合室。 すべてが退屈だった。 先が見えた任務、きまりきった空の旅。 人生さえも。 せめて、なにか心躍らせるもの、未知の事件が自分を待っていたら……? 冒険への扉は突然開かれた。 一人の美女が、とてつもなく奇妙な願いを訴えてきたのだ――危険が迫っている。 別の人間になりすましてロンドンに入りたいので、パスポートとマントを貸して欲しいと。 面白そうだ。 やってみる価値があるかもしれない。彼は、眠っている間の盗難に見せかけるために、女の残していった睡眠薬入りのビールをゆっくり飲みほした……。 なにくわぬ顔で、ロンドンへ帰ったサー・スタフォードを待っていたのは、イギリス諜報部の異常なまでの関心だった。 そして、彼をつけ狙う何者かの影。 二度も轢き殺されかけた時、彼は謎の女にもう一度逢おうと決意した―― 《フランクフルトへの乗客、至急連絡乞う》! 一外交官が巻きこまれた国際的大陰謀―― 現代文明への諷刺を盛り込んだクリスティーのスパイスリラー!
解説:「80歳の記念作品」
1979
フランクフルトへの乗客
永井淳訳 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫(HM1-48) ISBN:9784150700485
人生に退屈していたスタフォード・ナイに未知の冒険への扉を開いたのは、フランクフルト空港で出会った一人の美女だった。その見知らぬ女性は彼の外交官としての地位を知ってか、奇妙な依頼をもちかけてきた。危険が迫っている、パスポートとマントを貸してほしいというのだ。興味を抱いた彼は、女の願いを聞き入れた。が、ロンドンに帰った彼を待っていたのは英国諜報部の異常なまでの関心と、彼をつけ狙う何者かの不気味な影だった!一外交官が巻きこまれた国際的大陰謀とは?現代社会への風刺と奇想に富む女史得意のスパイ・スリラー!
まえがき第一部 中断された旅( 1. フランクフルトへの乗客/ 2. ロンドン/ 3. クリーニング屋からきた男/ 4. エリックとの夕食/ 5. ワグネリアン・モチーフ/ 6. ある貴婦人の肖像/ 7. マチルダおばの助言/ 8. 大使館のディナー/ 9. ゴドルミング近郊の家)/ 第二部 ジークフリートへの旅( 10. 城に住む婦人/ 11. 青年と美女/ 12. お抱え道化師)/ 第三部 国内で、そして国外で( 13. パリ会議/ 14. ロンドン会議/ 15. マチルダおばの温泉治療/ 16. パイカウェイは語る/ 17. ヘル・ハインリヒ・シュピース/ 18. パイカウェイの解説/ 19. サー・スタフォード・ナイの客/ 20. 提督、旧友を訪問する/ 21. ベンヴォ計画/ 22. ジュアニータ/ 23. スコットランドへの旅/ エピローグ)
解説:浅羽芙子「クリスティーの眠る村」
表紙:真鍋博
登場人物
スタフォード・ナイ外交官
マチルダ・クレックヒートンスタフォードのおば
ゴードン・チェトウィンドスタフォードの上司
ミルドレッド・コートマンアメリカ大使の妻
ネッド・アルタマウントイギリスの有力者
ロビンスン謎の人物
ヘンリー・ホーシャム保安にいる男
メアリ・アン(レナータ・ゼルコウスキ)
ジェイムズ・クリークロード・アルタマウントの補佐
マンロー大佐
パイカウェイ陸軍大佐。特捜部主任。
フィリップ・ブラント提督
ロバート・ショーラムマチルダンの友人。物理学者
リーザ・ノイマンロバートの秘書
マカロク医者
2004
フランクフルトへの乗客
永井淳訳 早川書房 クリスティー文庫(96) ISBN:9784151300967
パスポートとマントを貸してほしい――空港で出会った謎の女の申し出は、変わり者の外交官スタフォード・ナイを国際的陰謀の渦中へと巻き込んだ。彼を尾け狙う不気味な影、世界各地で頻発する暴動、そしてドイツ山中の巨大な城に棲む謎の老嬢……はたしてナイの運命は?壮大なスケールで魅せるスパイ・スリラー。
解説:森薫「クリスティーで読むイギリス使用人事情」