杉の柩
Sad Cypress

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“エルキュール・ポアロ”シリーズの長編18作目。
1940年、Daily Express (23 March ~ 13 April 1940)に連載、同年3月にCollins社から刊行された。 米国では1939年から40年にかけて、Collier's Weekly (25 November 1939 ~ 27 January 1940)に連載、同年Dodd, Mead社から刊行された。
日本語初訳は1957年の『杉の柩』(恩地三保子訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ)。

早川書房

(日本語版翻訳権独占)
1957
杉の柩
恩地三保子訳 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ(361)
そうだ、私とロディーが、ここに住むことが出来た筈なのだ。 私とロディーが…… 二人ともこのハンターブリイを愛し、住むことを望んでいたのだ。 幼い日の想い出を残しているなつかしいハンターブリイ…… いま二人は一緒にここに居てよい筈だった―― 二人きりの幸福にひたりながらあの娘、メアリイの野生のバラのような美しささえなかったならば…… 突然激しい憎悪の波が、奔流のように、エリノアの心にわきあがったのだ……。 クリスティー女史独得の情感ゆたかな感触が、全篇を通じて流れている。 文学的探偵小説の傑作。 1940年作品。
1976
杉の柩
恩地三保子訳 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫(HM1-11) ISBN:9784150700119
ロディーとエリノアは幼なじみだった。誰もが幸せにひたる二人を暖く見守ってくれていた。そんな時だった、あの野生のバラのように実しいメアリイが現われたのは……エリノアの心に激しい憎悪が奔流のように湧きあがった。そしてある日、メアリイは食卓を囲んでいる最中に毒殺された。犯人は私ではない!エリノアは心の中で叫んだ。その声が通じたかのようにポアロの真相究明は開始された……クリスティー女史独特の情感豊かな感触が、全篇を通じてやさしく流れる文学的探偵小説の典型!
プロローグ 有罪か、無罪か?/ 第一部( 1. 匿名の手紙/ 2. メアリイ・ゲラード/ 3. 二度目の発作/ 4. もしメアリイがいなければ/ 5. メアリイ、遺言状を作る/ 6. 数々の手紙/ 7. 娘は死にかけている)/ 第二部( 1. ポアロ登場す/ 2. 台秤の針、くるくるまわる/ 3. ナース・ホプキンス/ 4. エマ・ビショップ大いに語る/ 5. 何かのまちがいでは?/ 6. ロディーは思い出した/ 7. ポアロに難事なし/ 8. 部長は自信満々/ 9. 何かまだある/ 10. 不思議な偶然/ 11. エリノアは語る/ 12. 白バラと紅バラ/ 13. ミス・トゥートゥー)/ 第三部( 1. レッテルのきれはし/ 2. 検事は安閑としている/ 3. 弁護論告/ 4. 陪審員の答申/ 5. 心安らぐ人/ 6. 絵ときするポアロ)
表紙:真鍋博
登場人物
ローラ・ウエルマン金持の未亡人
エリノア・キャザリーン・カーライルローラの姪
ロディー(ロデリック)・ウエルマンローラの義甥
メアリイ・ジェラードウエルマン家の門番の娘
エマ・ビショップウエルマン家の召使頭
ピーター・ロードローラ・ウエルマンの主治医。ランサム博士の後任
アイリーン・オブライエン看護婦
ジェシー・ホプキンズ地区看護婦
テッド・ビグランドメアリイに恋する青年
エドウィン・ブルマー卿エリノア・カーライルの弁護士
サミュエル・アテンブリイ卿検事
エルキュール・ポアロ私立探偵
2004
杉の柩
恩地三保子訳 早川書房 クリスティー文庫(18) ISBN:9784151300189
婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。彼女の出現でロディーが心変わりをし、婚約は解消された。激しい憎悪がエリノアの心に湧き上がり、やがて彼女の作った食事を食べたメアリイが死んだ。犯人は私ではない!エリノアは否定するが……嫉妬に揺れる女心をポアロの調査が解き明かす。
解説:山野辺若「図書館の天使」

映像化

テレビドラマ
杉の柩 Sad Cypress
2003年 英ITV 「名探偵ポワロ」Agatha Christie's POIROT IX |Sad Cypress (2003) on IMDb
監督:デビッド・ムーア 脚本:デビッド・ピリ
出演: デビッド・スーシェ(ポワロ)エリザベス・ダーモット・ウォルシュ(エリノア)ルパート・ペンリー・ジョーンズ(ロディ)ケリー・ライリー(メアリ)ポール・マクガン(ドクター・ロード)フィリス・ローガン(ホプキンス)マリオン・オドワイヤー(オブライエン)ダイアナ・クイック(ウェルマン夫人)スチュアート・ラング(テッド)ジャック・ギャロウェイ(マーズデン警部)ジェフリー・ビーバーズ(セドン)アリスター・フィンドレーリンダ・スパリアー(ビショップ)ティモシー・カールトン*(判事)

* 判事役のティモシー・カールトンは、『殺人は容易だ』(2009)でルークを演じたベネディクト・カンバーバッチのお父さん。 カンバーバッチ主演の「SHERLOCK」シリーズでは、シャーロックの父親役も演じてます。 ちなみに「SHERLOCK」シリーズでシャーロックの兄マイクロフトを演じているのは、クリスティ作品ではおなじみのマーク・ゲイティス。

杉の柩
デアゴスティーニ・ジャパン 「名探偵ポワロ DVDコレクション」第52号(2013)
美しい娘エリノア・カーライルはある日、匿名の手紙を受け取る。そこには、何者かが叔母ローラ・ウェルマンに取り入って、遺産を奪おうとしている、という警告が書かれていた。間もなくしてローラは死亡。だが彼女の死は病死ではなかった……。
■POIROT'S ERA ポワロのいた時代:「白衣の天使」「1937年の夏」「家柄と財産」 /■STAR CAST 撮影の舞台裏 スター紹介:「受け継がれた才能」 /■QUEEN OF CRIME ミステリーの女王:「有名人の地位」
テレビドラマ
杉の柩 Je ne suis pas coupable
2010年 France2 「アガサ・クリスティーのフレンチ・ミステリー」Les Petits Meurtres d'Agatha Christie |Je ne suis pas coupable (2012) on IMDb
監督:エリック・ウォレット 脚本:ティエリー・ドブルー
出演: アントワーヌ・デュレリ(ラロジエール警視)マリウス・コルッチ(ランピオン刑事)フレデリック・ティルモンLéna Brebanギレーヌ・ロンデスYannick Choiratノエミ・デ・ラトルルー・ドゥ・ラージュラニック・ゴートリーPhilippe SoutanSerge DuboisCharles-Antoine DecroixThierry BerteinNicolas Jean-DebaeneMaxence VandeveldeEmmanuel Rausenberger