スタイルズ荘の怪事件
The Mysterious Affair at Styles

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アガサ・クリスティの処女作にして、ベルギー人の名探偵エルキュール・ポアロのデビュー作。
1916年執筆。 1920年、The Times newspaper's Weekly Edition (Feb.27~Jun.25)に連載された後、1921年1月にThe Bodley Head社(下記John Lane社の英国法人)から刊行された。
米国では英本国に先行して1920年8月にJohn Lane社から刊行されている。
日本語初訳は1937年の『スタイルズの怪事件』(東福寺武訳 日本公論社)。

初期の邦訳

1937
スタイルズの怪事件
東福寺武訳 日本公論社
第一章 スタイルズ莊訪問/ 第二章 七月十六日・十七日/ 第三章 悲劇の夜/ 第四章 ポワロの探索/ 第五章 ストリキニーネ/ 第六章 檢屍法廷/ 第七章 ポワロ負債を濟す/ 第八章 新しき嫌疑/ 第九章 ボーエルスタイン博士/ 第十章 逮捕/ 第十一章 起訴/ 第十二章 最後の一環/ 第十三章 ポワロの說明
解説:東福寺武「アガサ・クリスティについて」
裝幀:吉永哲男
1952
スタイルズ事件
宇野利泰・桂英二訳 『別冊宝石』第5巻第9号
世界探偵小説全集1/アガサ・クリスティ篇
「ABC殺人事件」(伴大矩訳)、「スタイルズ事件」(宇野利泰・桂英二訳)、「そして誰れもいなくなつた」(清水俊二訳)、「アガサ・クリスティー」(江戸川乱歩)を掲載。

講談社

1955
スタイルズ荘の怪事件
松本恵子訳 大日本雄弁会講談社 クリスチー探偵小説集:ポワロ探偵シリーズ(2)
平和な村に突如起った富豪未亡人の毒殺事件は、あわや迷宮入りの一歩手前。 毒薬博士、浪費癖の息子、病院に勤める姪等々。 依然として解けぬ毒薬ストリー・キニーネの出所。
悲劇のスタイルズ荘(スタイルズ荘へ/七月十六日と十七日/悲劇の夜)/ ポワロ登場(ポワロ捜査/「ストリキニーネではないでしょうね」)/ ポワロ、恩を返えす(検屍審問/ポワロ、恩を返えす/新しい嫌疑)/ 犯人は?(パウエルスタイン博士/逮捕)/ ポワロの活動(訴訟の申立て/最後の環/ポワロの種あかし)
解説:松本恵子「クリスチー女史とポワロ探偵」
装幀:中尾進
1975
スタイルズ荘の怪事件
久万嘉寿恵訳 講談社 講談社文庫
傷病休暇を友人の別荘ですごしていたへイスチングス大尉は、友人の義母で別荘の所有主イングルソープ夫人の毒殺事件に出くわした。 容疑は年齢が親子ほども違う若い夫に向けられる。 故国ベルギーを戦火で追われたポアロも別荘に居合わせ、犯人のつきつけた挑戦を受けて立つ。 推理界の女王クリスティーのデビュー作。
1987
スタイルズ荘の怪事件
久万嘉寿恵訳 『エルキュル・ポアロ』所収 各務三郎・数藤康雄編 講談社 ISBN:9784062034043
ミステリーの女王アガサ・クリスティー描く珠玉の作品「スタイルズ荘の怪事件」「ゴルフ場殺人事件」「アクロイド殺害事件」「青列車の謎」「オリエント急行殺人事件」「ABC殺人事件」の6編を収録。 世界を舞台に活躍するポアロをよろしく。
解説:「ポアロとクリスティーの横顔」


2003
スタイルズ荘の怪死事件
花上かつみ訳 講談社 講談社青い鳥文庫 ISBN:9784061486089
イングランドのエセックス州郊外。ベルギーから亡命したエルキュール=ポワロは、ここで田舎暮らしをしていたが、この地の上流階級でスタイルズ荘に住む老婦人が変死した。鍵をかけた自室で、明らかに毒物による死。老婦人は生前、いろいろな薬を服用していたので、事故死と殺人の両方が考えられたが、ポワロのするどい嗅覚は、早くも事件のにおいをかぎとっていた。
絵:高松啓二

早川書房

1957
スタイルズ荘の怪事件
田村隆一訳 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ(364)
一点のしみもない清潔な服に身をつつみ、卵型の頭をかしげ、 手入れのゆきとどいたみごとな口髭の先をぴんとはねあげた小柄なベルギー人――エルキュール・ポアロにこんな田舎で再会しようとは、そして彼の自慢の《灰色の脳細胞》を駆使できる恐るべき難事件が起きようとは、スタイルズ・セント・メリイの小さな駅に降りたったヘイスティングズの頭にはまったく思いつくべくもなかった……。 傷病兵としての無聊の日々を、友人ジョン・カヴェンディッシュの母イングルソープ夫人の館“スタイルズ荘”で過ごそうとやってきたヘイスティングズは、そこで大戦によって故国を追われ、イギリスに難を逸れたポアロと再会した。 ベルギー警察でその人ありと知られていたポアロも、この村では亡命者としてイングルソープ夫人の温かい庇護のもとに暮していた。 ヘイスティングズの訪れた“スタイルズ荘”は、不穏な空気が漂っていた。 老夫人が二十歳も年下の、素姓さえ明確でない男と最近結婚したのだ。 財産目当てに違いない男に対する風当りは強かった。 そんなある晩、夫人は急に苦しみ出し、息を引き取った。 毒殺らしい。ポアロは恩人の死の謎を解くべく立ち上った! ホームズと肩を並べる名探偵ポアロ登場。 〈ミステリの女王〉の輝かしい出発点となった記念すべき処女作!
第一章 スタイルズへ/ 第二章 七月十六日・十七日/ 第三章 惨劇の夜/ 第四章 ポアロ、乗り出す/ 第五章 〝キニーネではないですか?〟/ 第六章 検屍廷/ 第七章 ポアロ、借りを返す/ 第八章 新たな疑惑/ 第九章 バウエルスタイン博士/ 第十章 逮捕/ 第十一章 告訴の申し立て/ 第十二章 最後の一環/ 第十三章 ポアロの説明
解説:都筑道夫「輝かしき処女作」
1982
スタイルズ荘の怪事件
田村隆一訳 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫(HM1-67) ISBN:9784150700676
戦傷を癒そうと旧友カヴェンディッシュの母エミリイの邸スタイルズ荘を訪れたヘイスティングズは到着早々事件に巻き込まれた。二十も年下の男と再婚したばかりのエミリイが毒殺されたのだ。困惑するヘイスティングズの頭に、卵型の頭と見事な口髭のベルギーの小男、エルキュール・ポアロの姿が浮かんだ。かくして、灰色の脳細胞が活動を開始することとなる…不朽の名探偵の出発点となった、女史の記念すべき処女作!
1. スタイルズ荘へ/ 2. 7月16日・17日/ 3. 惨劇の夜/ 4. ポアロ、乗り出す/ 5. 「キニーネではないですか?」/ 6. 検死審問/ 7. ポアロ、借りを返す/ 8. 新たな疑惑/ 9. バウエルスタイン博士/ 10. 逮捕/ 11. 告訴の申し立て/ 12. 最後の一環/ 13. ポアロの説明
解説:田村隆一「この緑と青の薬壜の中に」
表紙:真鍋博
登場人物
エルキュール・ポアロ私立探偵
アーサー・ヘイスティングズ陸軍大尉。ポアロの親友
エミリイ・アグネス・イングルソープスタイルズ荘の女主人
アルフレッド・イングルソープエミリイの夫
ジョン・カヴェンディッシュエミリイの義理の息子
メリイ・カヴェンディッシュジョンの妻
ローレンス・カヴェンディッシュジョンの弟
イブリン(エヴィ)・ハワードエミリイの相談相手
シンシア・マードック薬剤師
ドーカススタイルズ荘の召使
マニングスタイルズ荘の庭師
ウィルキンズイングルソープ家の主治医
バウエルスタイン博士毒物学者
アルバート・メイス薬屋の店員
ジェームズ・ジャップロンドン警視庁の警部
サマーヘイ部長刑事
2003
スタイルズ荘の怪事件
矢沢聖子訳 早川書房 クリスティー文庫(1) ISBN:9784151300011
旧友の招きでスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズは、到着早々事件に巻き込まれた。屋敷の女主人が毒殺されたのだ。難事件調査に乗り出したのは、ヘイスティングズの親友で、ベルギーから亡命して間もない、エルキュール・ポアロだった。不朽の名探偵の出発点となった著者の記念すべきデビュー作が新訳で登場!
解説:数藤康雄
2023
名探偵ポアロ スタイルズ荘の怪事件
矢沢聖子訳 早川書房 ハヤカワ・ジュニア・ミステリ ISBN:9784152102461
大富豪が殺された!? 屋敷には怪しい人ばかり! 世界一の名探偵ポアロはイギリスの田舎で暮らしていた。 そんなある日、村の屋敷“スタイルズ荘”で毒殺事件が起こる。 悪い噂がある夫、金に困った息子、有名な毒物博士……屋敷には怪しい人ばかり。 とても苦い毒薬をこっそり被害者に飲ませる方法は? 毒が効くまでに時間がかかったのはなぜ? 謎だらけの事件を前に、名探偵ポアロの“灰色の脳細胞”が冴えわたる!
マシュー・プリチャード「『スタイルズ荘の怪事件』によせて」、解説:大矢博子
イラスト:二階堂 彩

新潮社

1959
スタイルズ荘の怪事件
能島武文訳 新潮社 新潮文庫(赤135G)
※1975年改版
戦争で負傷したヘイスティングズは、旧友の招きにより、閑静なスタイルズ荘で静養することになった。しかし、彼はそこで、奇怪な事件にまきこまれることになる。別荘の所有者で富豪のイングルソープ夫人が、深夜、何者かによって密室の中で毒殺されたのだ。たまたまその村に居合せたもとベルギー警察の名探偵ポワロの緻密な推理が始まる…。ミステリーの女王クリスティのデビュー作。
第一章 スタイルズヘ/ 第二章 七月十六日と十七日/ 第三章 悲劇の夜/ 第四章 ポアロ、捜査す/ 第五章 ストリキニーネじゃないでしょうね?/ 第六章 検屍審問/ 第七章 ポアロ、借りを返す/ 第八章 新たな容疑/ 第九章 バウエルスタイン博士/ 第十章 逮捕/ 第十一章 公判/ 第十二章 最後の環/ 第十三章 ポアロ、説明す/ 訳者あとがき

1977年10刷
ISBN:9784102135075
表紙:鈴木邦治+野中昇

1995
スタイルズ荘の怪事件
真野明裕訳 新潮社 新潮文庫(ク-3-18) ISBN:9784102135198
戦争で負傷したヘイスティングズは、旧友の招きにより、閑静なスタイルズ荘で静養することになった。しかし、彼はそこで、奇怪な事件にまきこまれることになる。別荘の所有者で富豪のイングルソープ夫人が、深夜、何者かによって密室の中で毒殺されたのだ。たまたまその村に居合せたもとベルギー警察の名探偵ポワロの緻密な推理が始まる…。ミステリーの女王クリスティのデビュー作。
解説:各務三郎
カバー:鈴木邦治+野中昇

東京創元社

1961
スタイルズの怪事件
松原正訳 東京創元社 世界名作推理小説大系(別巻4)
ほかに、「三幕の悲劇」を収録。解説:中島河太郎
1963
スタイルズの怪事件
松原正訳 東京創元社 創元推理文庫
1 スタイルズ荘訪問/ 2 七月十六日および十七日/ 3 悲劇の夜/ 4 ポワロの捜査はじまる/ 5 ストリキニーネではあるまいか?/ 6 検死裁判/ 7 ポワロ、恩を返す/ 8 新たな疑惑/ 9 バウエルスタイン/ 10 逮捕/ 11 裁判/ 12 最後の環/ 13 ポワロ、説明す/ 訳者あとがき
1976
スタイルズの怪事件
田中西二郎訳 東京創元社 創元推理文庫(105-26) ISBN:9784488105266
事件はヘイスティングズ大尉が療養休暇を過ごしていたスタイルズ荘で起こった。 女主人が急死し、しかもそれが毒殺だというのだ。 毒はストリキニーネ、そして複雑な家族構成。 たちまち湧き起こる疑惑の渦の中で、頭脳的で巧妙な犯罪トリックを見やぶり、事件を解決せんと登場したのがエルキュール・ポワロその人であった。 灰色の脳細胞で次々と難事件を解決するベルギー人名探偵ポワロを世界の推理小説界にデビューさせたアガサ・クリスチィ女史の記念すべき処女作!
療養休暇中の軍人、ヘイスティングズが滞在していたエセックスのスタイルズ荘の女主人が急死、ストリキニーネによる毒殺の容疑がその夫にかけられた。複雑な人間関係の中にしかけられた頭脳的で巧妙な犯罪に挑むのは、戦火に故国ベルギーを追われ同地に身を落ち着けていた名探偵エルキュール・ポワロ。世界の推理小説界に女王アガサ・クリスティの名を知らしめた記念すべき第一作。
2004
スタイルズの怪事件
田中西二郎訳 東京創元社 創元推理文庫(新版) ISBN:9784488105440
第一次大戦の戦火で故国ベルギーを追われた名探偵ポワロは、スタイルズ荘に身を落ちつけることになった。ところがそこの女主人が急死し、毒殺の容疑がその夫に向けられるという怪事件がもちあがる。独創的なトリックで捜査陣に挑戦する真犯人。世界の推理小説界にエルキュール・ポワロを登場させた、女王クリスティの記念すべき処女作。
訳者あとがき
表紙:ひらいたかこ
2021
スタイルズの怪事件
山田蘭訳 東京創元社 創元推理文庫(Mク2-14) エルキュール・ポワロ・シリーズ ISBN:9784488105488
その毒殺事件は、療養休暇中のヘイスティングズが旧友に誘われ滞在していた《スタイルズ荘》で起きた。被害者は、旧友の継母。二十歳ほど年下の男と再婚した《スタイルズ荘》の主人で、死因はストリキニーネ中毒だった。不可解な事件に挑むのは、エルキュール・ポワロ。灰色の脳細胞で難事件を解決する名探偵ポワロの初登場作にして、ミステリの女王のデビュー作が新訳で登場!
解説:大矢博子
装画:船津真琴

その他の出版社

1971
スタイルズ荘の怪事件
能島武文訳 角川書店 角川文庫(赤502-9)
イギリス中の関心を集めたスタイルズ事件は傷病休暇で帰国中のヘイスティング大尉が友人の別荘に招かれた時に始まる。 その家の持ち主である友人の義母が突如倒れ、毒殺の嫌疑が一族中のものにかかる。 そこへ名探偵ポアロの登場。巧妙なトリックをしかけた犯人の裏をかいて事件を解決。 推理小説界の女王クリスティのデビュー作。

1975年
1977年12刷

1990
スタイルズ荘殺人事件 名探偵ポワロ登場
室田陽子文 ポプラ社 ポプラ社文庫:怪奇・推理シリーズ ISBN:9784591034798
ミステリーの女王、アガサ・クリスティ、不朽のデビュー作。スタイルズ荘の主、イングルソープ夫人が、何者かに殺害された。スタイルズ荘で静養していたヘイスティングスは、事件解明のため、名探偵ポワロを訪れた。
絵:村井香葉

映像化

テレビドラマ
スタイルズ荘の怪事件 The Mysterious Affair at Styles
1990年 英ITV 「名探偵ポワロ」Agatha Christie's POIROT III |The Mysterious Affair at Styles (1990) on IMDb
クリスティ生誕100周年記念作。
監督:ロス・デベニッシュ 脚本:クライブ・エクストン
出演: デビッド・スーシェ(ポワロ)ヒュー・フレイザー(ヘイスティングス)フィリップ・ジャクソン(ジャップ警部)ビーティ・エドニー(メアリー・カベンディッシュ)デビッド・リントール(ジョン・カベンディッシュ)ジリアン・バージ(イングルソープ夫人)マイケル・クローニン(アルフレッド・イングルソープ)ジョアンナ・マッカラム(イビー・ハワード)アンソニー・カーフ(ローレンス・カベンディッシュ)アリー・エシリ(シンシア・マードック)ララ・ロイド(ドーカス)Michael Godley(ウィルキンズ)モリス・ペリー(ウェルズ)ペネロペ・ボーモントデイビット・サヴィル(サマーヘイ)ティム・マンローティム・プリースメレリナ・ケンドール

スタイルズ荘の怪事件
デアゴスティーニ・ジャパン 「名探偵ポワロ DVDコレクション」第6号(2011)
戦場で負傷し帰国したヘイスティングスは、旧知のジョンに招かれて、その母エミリーの屋敷、スタイルズ荘を訪れる。だがこの美しく格式高い屋敷に到着早々、事件に巻き込まれる。ヘイスティングスと再会した名探偵ポワロは、奇妙な殺人の謎を解くべく、自慢の灰色の脳細胞を駆使し始める。
■POIROT'S ERA ポワロのいた時代:「前線の戦い」「戦う女性たち」「無血の殺人」 /■STAR CAST 撮影の舞台裏 スター紹介:「フィリップ・ジャクソン」 /■QUEEN OF CRIME ミステリーの女王:「新しい友人と家族」
テレビドラマ
La Mystérieuse Affaire de Styles
2016年 France2 「アガサ・クリスティーの謎解きゲーム」Les Petits Meurtres d'Agatha Christie |La Mystérieuse Affaire de Styles (2016) on IMDb
監督:エリック・ウォレット
出演: サミュエル・ラバルト(ロランス警視)ブランディーヌ・ベラヴォア(アリス)エロディ・フランクフレデリック・ティルモンソフィー・カッターニシリル・ゲイアレクシア・バーリエアンディ・ジレチャーリー・ジョアキンFrédéric Fisbachドミニク・トマ(トリカール警視正)Anouchka CsernakovaFabrice GaillardRémy Genceフロリアンヌ・ポティエス