ホロー荘の殺人
The Hollow

英初版:Collins 1946年
米初版:Dodd, Mead 1946年

内容

アンカテル卿の午餐に招かれたポアロは、少なからず不快になった。邸のプールの端で一人の男が血を流し、傍らにピストルを手にした女が虚ろな表情で立っていたのだ。が、それは風変わりな歓迎の芝居でもゲームでもなく、本物の殺人事件だった!恋愛真理の奥底に踏み込みながら、ポアロは創造的な犯人に挑む。
(早川書房 クリスティー文庫)

アンカテル卿の午餐に招かれホロー荘に来たポアロは少なからず不快になった。邸の庭にあるプールの端に一人の男が血を流して死んでおり、傍らにはピストルを手にした女が虚ろな表情で立っていたのだ……いくら彼が探偵とはいえ、こんな歓迎の仕方は見当違いのユーモアのセンスというものだ!ポアロはいささかうんざりした。しかし…死体は本物だった。殺されていたのは、やはり午餐に招かれたジョンという医師で女はその妻だった。果して、これは殺人なのか?ホロー荘に集った人々の心理葛藤のなかに真相を読むポアロ。
(早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫)

登場人物

ヘンリー・アンカテル卿行政官。ホロー荘主人
ルーシー・アンカテルヘンリーの妻
ミッジ・ハードカスルホロー荘の客。ルーシーの従姉妹
ヘンリエッタ・サヴァナクホロー荘の客。芸術家
エドワード・アンカテルホロー荘の客。エインズウィックの相続人
デイヴィッド・アンカテルホロー荘の客。学校を出たばかりの青年
ジョン・クリストウホロー荘の客。医者
ガーダ・クリストウホロー荘の客。ジョンの妻
エルシー・パターソンガーダの姉
ヴェロニカ・クレイ映画女優
ガジョン執事
シモンズ女中
グレンジ警部
エルキュール・ポアロ私立探偵

映像化

危険な女たち
1985年 日本(松竹)
監督:野村芳太郎 脚本:竹内銃一郎、古田求
出演:石坂浩二、大竹しのぶ、池上季実子、和由布子、藤真利子、小沢栄太郎、北林谷栄、寺尾聡、三田村邦彦
ホロー荘の殺人 The Hollow
名探偵ポワロ」Agatha Christie's POIROT IX
放送:(英ITV):2004年7月25日 (NHK)2005年8月26日
監督:サイモン・ラングトン 脚本:ニック・ディア
出演: デビッド・スーシェ(ポワロ)、 サラ・マイルズ(ルーシー)、 メーガン・ドッズ(ヘンリエッタ)、 ジョナサン・ケイク(ジョン)、 クレア・プライス(ガーダ)、 エドワード・ハードウィック(サー・ヘンリー)、 トム・ジョージソン(グレンジ警部)、 リゼット・アンソニー(ヴェロニカ)、 エドワード・フォックス(ガジョン)、 キャロライン・マーティン(ミッジ)、 ジェイミー・デ・カーシー(エドワード)、 テレサ・チャーチャー(エルシー)
華麗なるアリバイ Le Grand alibi
2008年 フランス
監督:パスカル・ボニゼール 脚本:パスカル・ボニゼール
出演:ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ(エステル・バシュマン)、アンヌ・コンシニ(クレール・コリエ)、ミュウ=ミュウ(エリアーヌ・パジェス)、ランベール・ウィルソン(ピエール・コリエ)、ピエール・アルディティ(アンリ・パジェス)、マチュー・ドゥミ(フィリップ・レジェ)、カテリーナ・ムリーノ(レア・マントヴァニ)、モーリス・ベニシュー(グランジュ刑事)、エマニュエル・リヴァ(ジュヌヴィエーヴ・エルバン)、セリーヌ・サレット(マルト)、アガット・ボニゼール(クロエ)、ダニー・ブリヤン(ミシェル)
The Hollow
放送:2020年
出演:ローラ・ハドック
Le vallon
Les Petits Meurtres d'Agatha Christie
放送:2021年12月5日
出演:アルチュール・デュポン

翻訳履歴

戯曲版

ホロー荘の殺人 The Hollow

初演

1928年5月15日 プリンス・オブ・ウェールズ・シアター(ロンドン)

場面

第一幕9月上旬の金曜日の午後
第二幕第一場土曜日の朝
第二場同じ日の午後
第三幕次の月曜日の朝

登場人物

ヘンリエッタ・アンカテル
ヘンリー・アンカテル卿、バス上級勲爵士
レディ・アンカテル(ルーシー)
ミッジ・ハーヴェイ
ガジョン
エドワード・アンカテル
ドリス
ガーダ・クリストウ
ジョン・クリストウ医師(王立内科医協会会員)
ヴェロニカ・クレイ
コフーン警部(犯罪捜査部)
ペニー部長刑事

国内上演

◇ホロー荘の殺人
1993年/サンシャイン劇場/アガサ・クリスティー劇場TOKYO 1993
演出:栗山民也
出演:久野綾希子(ヘンリエッタ)、江原真二郎(アンカテル卿)、中原ひとみ(アンカテル夫人)、野口五郎(コフーン警部)、江藤潤、畠山久、春風ひとみ、大輝ゆう、二瓶鮫一、田代隆秀、重田千穂子、深浦加奈子
◇The Hollow
1993年/愛知芸術文化センター/ナゴヤプレイヤーズ
演出:バレリー・バール、デル・スミス
◇ホロー荘の殺人
1995年/近鉄劇場/平岡企画
演出:井上恩
出演:中村玉緒(ヘンリエッタ)、入川保則(アンカテル卿)、季麗仙(アンカテル夫人)、名高達男(コフーン警部)
◇ホロー館の人びと
2007年/日本橋劇場/演劇集団たつのおとしご会
演出:佐藤修
出演:森秋子(ヘンリエッタ)、桜井ひろ子(ガーダ)、佐藤せつお(カフーン警部)
◇ホロー荘の殺人
2008年/俳優座劇場/T.H.E
演出:グレッグ・デール
出演:宮本裕子(ヘンリエッタ)、小山萌子(ガーダ)、三浦丘美子(ルーシー)、白井圭太(コルクーン警部)、池田有希子、志村要、仲恭司、藤川恵梨、平井智美、若尾哲平、香原俊彦
◇ホロー荘の殺人
2010年/東部フレンドホール/劇団フーダニット
演出:松坂晴恵
出演:円城寺ソラ、思井奈都子、甲斐あやか、川崎拓己、さつまいも、橘沙織、沼田佳男、馬場貴海、松坂晴恵、宮下めぐみ、渡邉みつる、渡辺幸枝、真田五郎

翻訳履歴

2010 「ホロー荘の殺人」『ミステリマガジン』2010年4月号(通巻650号) 瀬戸川猛資訳 松坂晴恵補訳