
英初版:John Lane (The Bodley Head) 1921年
米初版:John Lane 1920年
アガサ・クリスティの処女作にして、名探偵エルキュール・ポアロのデビュー作。
執筆は1916年。
日本語初訳は1937年(『スタイルズの怪事件』東福寺武訳 日本公論社)。
内容

旧友の招きでスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズは、到着早々事件に巻き込まれた。屋敷の女主人が毒殺されたのだ。難事件調査に乗り出したのは、ヘイスティングズの親友で、ベルギーから亡命して間もない、エルキュール・ポアロだった。不朽の名探偵の出発点となった著者の記念すべきデビュー作が新訳で登場!
(早川書房 クリスティー文庫)

戦傷を癒そうと旧友カヴェンディッシュの母エミリイの邸スタイルズ荘を訪れたヘイスティングズは到着早々事件に巻き込まれた。二十も年下の男と再婚したばかりのエミリイが毒殺されたのだ。困惑するヘイスティングズの頭に、卵型の頭と見事な口髭のベルギーの小男、エルキュール・ポアロの姿が浮かんだ。かくして、灰色の脳細胞が活動を開始することとなる……不朽の名探偵の出発点となった、女史の記念すべき処女作!
(早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫)

第一次大戦の戦火で故国ベルギーを追われた名探偵ポワロは、スタイルズ荘に身を落ちつけることになった。ところがそこの女主人が急死し、毒殺の容疑がその夫に向けられるという怪事件がもちあがる。独創的なトリックで捜査陣に挑戦する真犯人。世界の推理小説界にエルキュール・ポワロを登場させた、女王クリスティの記念すべき処女作。
(東京創元社 創元推理文庫)
目次
1. スタイルズ荘へ
2. 7月16日・17日
3. 惨劇の夜
4. ポアロ、乗り出す
5. 「キニーネではないですか?」
6. 検死審問
7. ポアロ、借りを返す
8. 新たな疑惑
9. バウエルスタイン博士
10. 逮捕
11. 告訴の申し立て
12. 最後の一環
13. ポアロの説明
登場人物
エルキュール・ポアロ | 私立探偵 |
アーサー・ヘイスティングズ | 陸軍大尉。ポアロの親友 |
エミリイ・アグネス・イングルソープ | スタイルズ荘の女主人 |
アルフレッド・イングルソープ | エミリイの夫 |
ジョン・カヴェンディッシュ | エミリイの義理の息子 |
メリイ・カヴェンディッシュ | ジョンの妻 |
ローレンス・カヴェンディッシュ | ジョンの弟 |
イブリン(エヴィ)・ハワード | エミリイの相談相手 |
シンシア・マードック | 薬剤師 |
ドーカス | スタイルズ荘の召使 |
マニング | スタイルズ荘の庭師 |
ウィルキンズ | イングルソープ家の主治医 |
バウエルスタイン博士 | 毒物学者 |
アルバート・メイス | 薬屋の店員 |
ジェームズ・ジャップ | ロンドン警視庁の警部 |
サマーヘイ | 部長刑事 |
映像化
- スタイルズ荘の怪事件 The Mysterious Affair at Styles
- 「名探偵ポワロ」Agatha Christie's POIROT III
- 放送:(英ITV):1990年9月16日 (NHK)1990年11月24日
- 監督:ロス・デベニッシュ 脚本:クライブ・エクストン
- 出演: デビッド・スーシェ(ポワロ)、 ヒュー・フレイザー(ヘイスティングス)、 フィリップ・ジャクソン(ジャップ警部)、 デビッド・リントール(ジョン・カベンディッシュ)、 アンソニー・カーフ(ローレンス・カベンディッシュ)、 ビーティ・エドニー(メアリー・カベンディッシュ)、 ジリアン・バージ(イングルソープ夫人)、 マイケル・クローニン(アルフレッド・イングルソープ)、 ジョアンナ・マッカラム(イビー・ハワード)、 リー・バーン(シンシア・マードック)、 モリス・ペリー(ウェルズ)
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- *クリスティ生誕100周年記念作。 クリスティの誕生日(9月15日)の翌日に放送された。 ウィキペディア日本語版では“第2シーズン”に配されているが、Wikipedia(英語版)およびIMDBでは“Series 3”。
- La mystérieuse affaire de Styles
- 「アガサ・クリスティーのフレンチ・ミステリー」Les Petits Meurtres d'Agatha Christie
- 放送(France2):2016年
- 演出:エリック・ウォレット
- 出演:サミュエル・ラバルト、ブランディーヌ・ベラヴォア、Frédérique Tirmont, Sophie Cattani, Cyril Gueï
翻訳履歴
1937 『スタイルズの怪事件』東福寺武訳 日本公論社 解説:東福寺武「アガサ・クリスティについて」
1952 「スタイルズ事件」宇野利泰・桂英二『別冊宝石』第5巻第9号(アガサ・クリスティ篇)
1955 『スタイルズ荘の怪事件(ポワロ探偵シリーズ2)』松本恵子訳 大日本雄弁会講談社(ポワロ探偵シリーズ2)
1957 『スタイルズ荘の怪事件』田村隆一訳 ハヤカワ・ポケットミステリ(364) 解説:都筑道夫「輝かしき処女作」
1959 『スタイルズ荘の怪事件』能島武文訳 新潮文庫 訳者あとがき
1961 「スタイルズの怪事件」松原正訳 『世界名作推理小説大系 別巻4』東京創元社
1963 『スタイルズの怪事件』松原正訳 創元推理文庫 解説:訳者あとがき
1971 『スタイルズ荘の怪事件』能島武文訳 角川文庫
1975 『スタイルズ荘の怪事件』久万嘉寿恵訳 講談社文庫
1976 『スタイルズの怪事件』田中西二郎訳 創元推理文庫
1971(1977) 『スタイルズ荘の怪事件』能島武文訳 角川文庫
1982 『スタイルズ荘の怪事件』田村隆一訳 ハヤカワ・ミステリ文庫(HM1-67) 解説:田村隆一「この緑と青の薬壜の中に」 表紙:真鍋博 ISBN:9784150700676
1987 「スタイルズ荘の怪事件」『エルキュル・ポアロ』久万嘉寿恵、原百代訳 講談社
1990 『スタイルズ荘殺人事件―名探偵ポワロ登場』室田陽子文 ポプラ社文庫 絵:村井香葉
1995 『スタイルズ荘の怪事件』真野明裕訳 新潮文庫 ISBN4-10-213519-7
2003 『スタイルズ荘の怪事件』矢沢聖子訳 早川書房(クリスティー文庫1) 解説:数藤康雄 ISBN:9784151300011
2003 『スタイルズ荘の怪死事件』花上かつみ訳 講談社青い鳥文庫 絵:高松啓二
2004 『スタイルズの怪事件』田中西二郎訳 創元推理文庫(改訂版) 表紙:ひらいたかこ ISBN:9784488105440
2021 『スタイルズ荘の怪事件』山田蘭訳 創元推理文庫(新訳版) ISBN:9784488105488