パスティーシュ
ドロシーとアガサ
ゲイロード・ラーセン著 光文社文庫(2003)
――帰宅したドロシーを待っていたのは見ず知らずの男の死体だった。拳銃による自殺と見られたが、銃声を聞いたものは誰もいない。死体のそばには意味ありげなメッセージが残されていた。ドロシーの窮地を救うべく、クリスティーを中心としたディテクション・クラブの面々が真相を探ろうとするが……。――イギリスミステリー界の女王ふたりを相まみえさせた、大胆な設定の異色作!
殺しの双曲線
西村京太郎著 講談社文庫(1979)
差出人不明で,東北の山荘への招待状が6名の男女に届けられた。彼らは半信半疑で出かけて行く。雪に埋もれ,幸福感に酔っていた彼らはやがて恐怖のどん底に突き落とされた。殺人が発生したのだ。しかも順々に……。クリスティ女史の名作「そして誰もいなくなった」に,異色の様式で挑戦する本格推理長編。
名探偵なんか怖くない
西村京太郎著 講談社文庫(1977)
かの三億円事件をそっくり再現させて,それを世界的名探偵に推理させようという酔狂な企画。立案者は財産をもて余す成金。招かれた探偵は,メグレ,ポワロ,クイーン,明智の豪華版。お膳立てが整い,監視されているとも知らぬ犯人は行動を起したが,意外や意外。巧みな構想に支えられたパロディの秀作。
名探偵が多すぎる
西村京太郎著 講談社文庫(1980)
別府航路の船上で一堂に会した名探偵,メグレ,クイーン,ポワロ,明智の四人に,かのルパンから届いた挑戦状。ルパン対四人の虚々実々の対決はかくして幕をあけるが,ルパンに狙われた宝石商は鍵のかかった船室で殺害され,宝石も奪われる。ルパンは密室殺人で四人に挑戦してきたのか。会心パロディ。
名探偵も楽じゃない
西村京太郎著 講談社文庫(1982)
ミステリーマニアの組織の例会が,会長の経営するホテルで開かれた。特別ゲストはクイーン,メグレ,ポワロ,明智小五郎の四大探偵。その席に自ら名探偵と称する青年が闖入,殺人の匂いがあると予言。果たして奇怪な殺人劇が連続して!世界的名探偵達はどうする?傑作パロディ「名探偵シリーズ」第三作。
名探偵に乾杯
西村京太郎著 講談社文庫(1983)
遂に四人の名探偵のうち,ポアロが死んだ。その追悼会が,明智の花幻の島の別荘で開かれる。招かれたのはクイーン,メグレの他に,ポアロの親友ヘイスティングズ。そこへポアロ二世と自称する若者が現われた。彼はポアロゆずりの才知を示すべく,突発した殺人事件に首を突っこんだが――。クリスティ女史の「カーテン」を巧みに利したパロディ。
そして誰もいなくなる
今邑彩著 中央公論社(1993)、中公文庫(1986)
名門女子高天川学園の百周年記念式典に上演された,高等部演劇部によるそして誰もいなくなったの舞台上で,最初に服毒死する被害者役の生徒が実際に死亡。上演は中断されたが,その後も演劇部員が芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。次のターゲットは私!? 部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに,姿なき犯人に立ち向かうが……。犯人は殺人をゲームにして楽しむ異常嗜好者なのか。学園本格ミステリー。
クリスティー記念祭の殺人
キャロリン・G・ハート著,山本俊子訳 ミステリアスプレス文庫(1994)
アニーは胸の高鳴りを抑えられなかった。自分の企画した〈クリスティー記念祭〉が、ついに開幕するのだ。人気のミステリ作家も参加してくれるし、催し物も盛りだくさん。誰もが楽しんでくれるにちがいない。が、その記念祭に本格ミステリ嫌いの冷酷な評論家が闖入してきて、おまけに連続殺人が…。ミステリの女王に捧げられた、とびっきりの本格ミステリ。
クリスティーに捧げる殺人物語
ティム・ヒールド編,中村保男訳 ミステリアスプレス文庫(1992)
「母が消えた日」マーガレット・ヨーク\「煙が目に……」デイヴィッド・ウィリアムズ\「メイヘム・パーバの災厄」ジュリアン・シモンズ\「恋のためなら」スーザン・ムーディ\「旅行鞄の中の貴婦人」ピーター・ラヴゼイ\「ジャックは転んだ」H・R・F・キーティング\「検察側の達人」ティム・ヒールド\「最悪の祭日」ポーラ・ゴスリング\「水曜のマチネー」シリア・デイル\「クソくらえ」リサ・ゴディ\「文学史のお時間」サイモン・ブレット\「こぞって楽しいひととき」ロバート・バーナード\「晩餐会の夜に」キャサリン・エアード
そして誰かいなくなった
夏樹静子著 講談社文庫(1991)
豪華クルーザー“インディアナ号”に五人の客が招待されたが、出航の夜のにぎやかな晩餐に、突然、不気味な声が侵入する。各々の、秘めた罪を告発するそれは、クリスティの、有名な予告殺人小説と酷似し、船内は恐怖に凍りつく。果たして、一人、また一人と乗客が殺されていって…。
「ABC」殺人事件
有栖川有栖ほか著 講談社文庫(2001)
名探偵に送りつけられる挑戦状、法則性のある連続殺人事件、そして驚くべき真犯人!女王・クリスティの名作「ABC殺人事件」をモチーフに5人の鬼才が綴る、華麗なる事件簿。「灰色の脳細胞」ポアロをしのぐ名探偵は果たして誰か。ミステリーファンに贈る、文庫創刊30周年記念・書き下ろしアンソロジー!!
「そして誰もいなくなった」殺人事件
ジャックマール&セネカル著,矢野浩三郎訳 集英社文庫(1983)
※11人目の小さなインデアン集英社(1981)を改題
アガサ・クリスティーの代表作「そして誰もいなくなった」を上演しているパリの劇場で,あたかも原作をなぞったような大量殺人が発生した。そして第2,第3の殺人が……。事件のカギは悲劇的な死を遂げた往年の大女優か?老俳優サンソンと舞台演出家ステファノプーロスの推理が始まる。
アガサ 愛の失踪事件
キャサリン・タイナン著,夏樹静子訳 文芸春秋(文春文庫) 1988
1926年12月4日、著名な推理作家アガサ・クリスティが自宅から失踪した。愛する夫と娘を残して、36歳のアガサはなぜ家出し、失踪中どんな行動をとったのか。その謎は自伝の中でも触れられぬまま、彼女の死とともに葬り去られた。"ミステリー作家自身のミステリー"を克明に描いたファン必読の長篇小説。
三回殺して、さようなら
パスカル・レネ著,田中淳一訳 創元推理文庫(1988)
ミス・マープルの甥っ子、レスター警部は、季節外れの休暇をとって、南フランスにある山間の田舎町にやってきた。ところが到着早々、買いたてのフェラーリが、盗まれたうえ運転席に死体をのせて崖下で大破しているのが発見される。状況に不審を抱いたレスターは、同じホテルに泊りあわせた伯母を髣髴させるイギリス婦人とひそかに捜査を開始するが、迫うほどに事件の根は深く、悲痛なものであることが明らかになっていった!
アガサ・クリスティ殺人事件
河野典生著 祥伝社ノン・ノベル(1983)、祥伝社ノン・ポシェット(1986)
名探偵エルキュール・ポワロは実在し、名作「オリエント急行の殺人」事件は、それが書かれる前年の1933年、南インドで実際に起こった事件だった!45年後の1978年、作家・高田晨一はインド政府の招待旅行で、老人のポワロと出会う。ポワロの手には、〈かつての現場・ハイデラバード急行内でふたたび殺人が起こる〉との脅迫状が…。やがて、予告どおりに列車内で殺人が発生した!全世界のクリスティ・ファンに挑戦する本格推理小説の傑作!