バートラム・ホテルにて
At Bertram's Hotel<

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“ミス・マープル”シリーズ11作目となる第10長編。
1965年、Woman's Own (20 November ~ 18 December 1965)に簡略版が連載され、同年11月にCollins社から刊行された。 米国では1966年、Good Housekeeping (March ~ April 1966)に連載され、同年Dodd, Mead社から刊行された。
日本語初訳は1969年の『バートラム・ホテルにて』(乾信一郎訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ)。

早川書房

(日本語版翻訳権独占)
1969
バートラム・ホテルにて
乾信一郎訳 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ(1097)
姪のジョーンが、気分転換に旅行をすすめてくれたとき、ミス・マープルはロンドンのバートラム・ホテルを選んだ。 14のとき、叔父と叔母が一度連れていってくれたことがある。 落着いた雰囲気のうちに、目立たぬぜいたくがあるホテルだった。 が、なにしろはるか昔のことである。 どんなに変ってしまったか、心配でもあった。 ところが、バートラム・ホテルはかわっていなかった。 そっくり昔のままだった。 奇蹟的に、もはや消滅したはずの古き良き英国が、そこには生き残っていた。 エドワード王朝時代の家具・調度・風習、それに地方在住の、爵位をもった未亡人や聖職者、退役軍人といった、時代から忘れられた宿泊人。 懐しい過去がいまも暖かなマユに包まれて、保護されているのだ。 もっとも、ときたま現代が吹きつけてくることもある。 ここ数年、ロンドン警視庁管内で続出している大胆振りない強奪事件 ――銀行強盗、給料強奪、郵便託送中の宝石類の盗難の噂が話されたり、大西洋横断飛行から原子力潜水艦の便乗までやってのけ、大衆のアイドルになったべス・セジウィック夫人といった風変りな人間がとまりに来たりする。 ともあれ、楽しいホテルだわと、ミス・マーブルは満足していた。 そして、犯罪などとはまったく無縁な場所に思われたのだが……。 詮索好きな老嬢ジェーン・マーブル、久々の登場!
解説:堀孝夫「クリスマスにクリスティーを」
1976
バートラム・ホテルにて
乾信一郎訳 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫(HM1-14) ISBN:9784150700140
ロンドンのバートラム・ホテルに行きたいわ……姪から気分転換の旅行を勧められたミス・マープルは、こう答えた。そこは、古き良きエドワード王朝の面影を今なお残す、格調高いホテル。ここ数年ロンドンを荒し回っていた強盗団の脅威とも無縁であるかのごとく、優雅な雰囲気を醸し出していた。マープルにとっては、まさに恰好の休養の場のはずであった…。だが、徐々に露見する、ホテル内の錯綜した人間関係。そして、客の一人の突然の失踪……果たして彼女を待ち受けていた驚愕すべき犯罪とは?流麗なタッチで描く香り高い本格篇!
表紙:真鍋博
登場人物
ジェーン・マープル探偵好きな独身の老婦人
エルヴァイラ・ブレイクベス・セジウィックの娘
デレク・ラスコム大佐。エルヴァイラの後見人
ペニファザー牧師。クロース大聖堂評議員
ベス・セジウィック女流冒険家
ラジスロース・マリノスキーオート・レーサー
ハンフリーズホテルの支配人
ゴーリンジ女史ホテルの受付
マイケル(ミッキー)・ゴーマンホテルのドアマン
ヘンリーホテルの給仕頭
ローズ・シェルドンホテルのメイド
リチャード・エジャトンエジャトン・フォーブズ&ウィルバロー事務所弁護士
フレッド・デイビーロンドン警視庁主任警部
キャンブルロンドン警視庁警部
ロナルド・グレイブズ卿警視庁副総監
アリスバートラム・ホテル従業員
ブリジットエルヴァイラ・ブレイク友人
セリナ・ヘイジーミス・マープル知人。レスターシャ在住
キャボット夫人エルマーの妻
2004
バートラム・ホテルにて
乾信一郎訳 早川書房 クリスティー文庫(44) ISBN:9784151300448
大都会ロンドンの一画に、エドワード王朝時代そのままのたたずまいを保つバートラム・ホテル。だが、その平和で静穏なムードの裏でも、事件の影はうごめいていたのだ。常連客の牧師が謎めいた失踪をとげ、やがて霧の夜、恐るべき殺人事件が! ホテルで休暇を過ごしていたミス・マープルが暴く、驚愕の真実とは?
解説:佳多山大地「ライバルは『ラバー・ソウル』」

映像化

テレビドラマ
バートラム・ホテルにて At Bertram's Hotel
1987年 英BBC(全2回) 「ミス・マープル」Miss Marple |Miss Marple: At Bertram's Hotel (1987) on IMDb
監督:メアリ・マクマレイ 脚本:ジル・ハイエム
出演: ジョーン・ヒクソン(マープル)キャロライン・ブラキストン(ベス・セジウィック)ヘレナ・ミッチェル(エルヴィエラ・ブレイク)ジェームズ・コシンズ(デリク・ラスコム大佐)ジョアン・グリーンウッド(セリーナ・ヘイジー)ジョージ・ベイカー(デイヴィ主任警部)プレストン・ロックウッド(ペニファザー牧師)アイリーン・サトクリフブライアン・マクダラス(ミッキー・ゴーマン)ネビル・フィリップス(ヘンリー)ロバート・レイノルズ(ラジスラウス・マリノフスキー)ピーター・ボールドウィン(ハンフリーズ)ケイト・デュシェーヌ(ローズ)Henrietta Voigts(アリス)フィリップ・ブレサートン(キャンブル)ダグラス・ミルヴァン(ロナルド・グレイブズ卿)エドワード・バーナムランダル・ハーレイ(リチャード・エジャトン)アマンダ・ロイル
テレビドラマ
バートラム・ホテルにて At Bertram's Hotel
2007年 英ITV 「アガサ・クリスティー ミス・マープル」Agatha Christie's MARPLE Series 3 |At Bertram's Hotel (2007) on IMDb
監督:ダン・ゼフ 脚本:トム・マクレイ
出演: ジェラルディン・マクイーワン(ミス・マープル)イザベラ・パリスJames Howardアダム・スメサーストトニー・ビッグネルビンセント・レーガン(ミッキー)マーク・ヒープ(ハンフリーズ)エミリー・ビーチャム(エルバイラ)メアリー・ナイ(ブリジット)マルティーヌ・マカッチャン(ジェーン)チャールズ・ケイ(ペニフェザー)エド・ストッパード(マリノスキー)ニコラス・バーンズ(ジャック/ジョエル)ミーシャ・パリス(アメリア)フランセスカ・アニス*(セリーナ)ピーター・デイヴィソン(カーテン)Shenton Dixonポリー・ウォーカー(ベス)スティーブン・マンガン(バード)ハンナ・スピアリット(ティリー)ダニー・ウェブ

* 何はさておき、『秘密機関』(1983)・「おしどり探偵」シリーズ(1983-84)の“タペンス”、フランチェスカ・アニスに注目。 ほかにも、『最も卑劣な殺人』(1961)、『なぜ、エヴァンズに頼まなかったか』(1980)、『七つのダイヤル』(1981)、の出演があり、クリスティ作品には久しぶりの登場です。